研究概要 |
我々は,分子動力学シミュレーション(MDと略記)を用いて,融体からの結晶成長について研究してきた。 今年度は,(1)実用上も有用なペロブスカイト型結晶をもつCaSiO_3について,結晶成長のMDを行った。1-2層は成長したが,それ以上はナノ秒程度のMDでも成長しなかった。融液の粘性が高く,また2種類の陽イオンが存在するために成長が遅いものと考えられる。(2)塩化ナトリウム水溶液からの塩化ナトリウム結晶の成長を試みた。プログラムをFORTRANで書き,完成した。しかし,すでに存在する水-NaCl間のポテンシャルが適当でなかったため結晶成長に至らなかった。今後続ける計画である。(3)ルチル構造を有するCaCl_2融体からの結晶成長を,今まで行っていなかった(110)面について試みたが,0.5nsぐらいまでMDとしては,かなり長時間行ったが成長しなかった。この面は電荷中性でないため不安定なためと思われる。(4)MgOの融体からの結晶成長の結果を基に映像化を行って,1時間強のビデオを作成した。学会で用いる予定である。 本研究に関する成果を,国際学会で発表した。 ●"Molecular Dynamics Simulation of Crystal Growth from MgO Melt" ; 6^<th> International Symposium on Molten Salt Chemistry and Technology(2001.10.8-13, Shanghai, China)(基調講演)。 後者については,本科研費より旅費等のご援助を受けた。
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