研究概要 |
微粒子の晶癖は結晶面の成長速度の違いで変化する現象として一般に理解されてきた。真空中でNaCl表面にAuを蒸着すると、Au原子がhex.配列した面で覆われた多重双晶のAu微粒子が生成する。一方Au(100),Au(110),Au(111)結晶面を加熱すると、いずれの結晶面で表面原子がhex.配列した(5x20)Au(100)、(1x2)Au(110)、(√3x23)Au(111)構造に不可逆的に再構成する。また、電解質水溶液中でAu単結晶表面に負電圧を掛けると、真空中での表面再構成と殆ど同じ変化が電位に対し可逆的に起きる。この現象を表面電荷による歪みが原因で起きると考えると、我々は表面エネルギーを電位で制御できることが予測できる。実際、負電位にするとAu(111)面はhex配列のまま結合は4%短くなる。このように外部から歪みを制御することで表面エネルギーを変え、Au微粒子の成長や晶癖をコントロール出来るようになった。この新しい現象は北海道大学図書刊行会から平成13年2月26日に出版された「電極触媒科学の新展開」の一章「電位による表面構造変化と微粒子の晶癖」としてまとめられた。
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