研究概要 |
本研究では有機電導体の有力な候補化合物となる新しい電荷移動(CT)錯体調製のための新規有機電子供与体と受容体の合成に取組んだ。電子供与体についてはNaphthalene環の両peri-位に二個の7π電子系,Cycloheptatriene環と1,2-Dichalcogenole環,が縮環し強いドナー性が期待出来るPleiadiene誘導体の合成を試みた。Acenaphtheneから合成した1,8-Bis(bromomethyl)-4,5-dichloronaphthaleneとBis(pinacolato)diboronとのcross-coupling反応により7員環の構築には成功したが収率は低く現在反応経路,条件を詳細に検討中である。電子受容体についてはヘテロ原子Teの効果が期待される2,5-Tellurophene-TCNQ(1),p-quinoidのみならずo-quinoid環を含む3,6-Phenanthrene-TCNQ(2),広がったπ-共役系を持ちdianion状態でのCoulomb反発の減少が期待される2,8-Chrysene-TCNQ(3)の合成につき研究を進めた。1についてはTelluropheneから2,5-bis(hydroxymethyl)体及びdiiode体を合成し現在それらのdicyanometylene基への変換を研究中である。2については適切な位置に必要な置換基を持つBenzene誘導体を,3についても同様に準備したBenzeneおよびNaphthalene誘導体をcross-couplingさせた後必要な変換を行いそれぞれ母核の3,6-位及び2,8-位にCH_3O基を持つ化合物の合成に成功した。現在それぞれ先ず対応するQuinone体への変換につき研究中である。
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