研究概要 |
1.同じ層状ペロブスカイト構造を持つSr_2Ta_2O_7とSr_2Nb_2O_7が,純水の水素と酸素への光分解反応に活性を示した。これらのバンドギャップは,それぞれ4.5eVと3.9eVであった。Sr_2Ta_2O_7は,UV照射により,助触媒を担持しなくても水素と酸素を与えた。さらに,酸化ニッケルを助触媒として担持することにより,前処理をしなくても活性が飛躍的に増加した。そのNiO(0.15wt%)/Sr_2Ta_2O_7の270nmでの量子収率は12%であった。一方,Sr_2Nb_2O_7は,そのままでは活性を示さないが,酸化ニッケルを担持し,前処理をすることによりはじめて高活性を示した。これらの挙動の違いは,主にSr_2Ta_2O_7の方がSr_2Nb_2O_7よりも高い伝導帯レベルを持っているためであると結論された。 2.ソフト溶液プロセスにより可視光照射下で高活性を示すBiVO_4光触媒を開発した。ここで,仕込み時のBi:Vの比を変えることにより,monoclinicとtetragonalのBiVO_4を選択的に合成することができた。この方法で合成されたBiVO_4は,非常に良い結晶性を有することがXRD,SEMから確認された。2.9eVのバンドギャップを持つtetraは,主に紫外光領域にしか吸収を持たなかったのに対して,2.4eVのバンドギャップを持つmonのBiVO_4はその紫外吸収バンドに加えて可視光領域に特徴的な吸収を持っていた。このmonのBiVO_4は,可視光照射下(λ>420nm)において高い活性を示し,450nmにおいて9%の量子収率が得られた。
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