研究概要 |
超臨界流体を利用するプロセス開発が注目を集めている。超臨界流体中においては,通常の条件下では起こらない特異な反応の進行が期待される。本研究では超臨界アルコールが,反応場としてだけでなく反応試剤としても関与する有機化学反応の探索を行っている。 本年度は,超臨界アルコールによるカルボン酸のエステル化機構について検討した。その結果,エステル化の反応機構はカルボン酸の構造により異なることが明らかになった。 1.立体障害の小さいカルボン酸 超臨界^<18>O-methanolを用いてbenzoic acidのエステル化を行ったところ,^<18>Oはエステル基に導入された。このことから,立体障害の少ないカルボン酸のエステル化はカルボン酸のカルボニル炭素と酸素原子間の結合の開裂を経て進行することが想定される。 2.立体障害の大きいカルボン酸 超臨界^<18>O-methanolを用いて2,4,6-trimethylbenzoic acidのエステル化を行ったところ,^<18>Oはエステル基に導入されなかった。このことから,立体障害の大きいカルボン酸のエステル化はアルコールのアルキル基と酸素原子間の結合の開裂を経て進行することが想定される。 超臨界流体を反応場としてだけでなく反応試剤として利用する試みとして,超臨界二酸化炭素によるpyrroleのカルボキシル化についても検討した。
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