2次元ゲル電気泳動法に工夫を加え、分離原理の組み合わせを4種用いることによって、ポリペプチドがDNAから合成されたのち、機能を持つタンパク質へと構成されてゆく過程を追跡できることを示した。また、この研究の過程で、非変性条件ではヒト血漿中に高分子量タンパク質として(恐らくImmunoglobulin類との複合体として)存在し、SDS存在下の2次元ゲル電気泳動で解離し低分子領域に検出される数十個のタンパク質群を検出した。これらはいずれもヒト血漿25μl中の含量が0.5μg以下であり、2次元ゲル電気泳動だけでは構造解析にかけられる量を分取あるいは抽出することは困難であった。 一方、キャピラリー電気泳動の特徴を生かした2次元電気泳動によって、タンパク質を溶液状態で検出・定量しながら回収できることを確認した。これは、2次元ゲル電気泳動が原理的に手操作の過程を自動化することが難しく、高性能化、タンパク質処理量の増大などに向けての大きな改良が30年近く行われていない現状を克服できる可能性を示したものである。
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