ラジアル構造の検討としては、ガラスチップでウォールジェット型の電極を試作した。この中にリングディスク電極を配置してその特性を調べたところ、ガラスチップ間にある空隙から構成される流路を小さくすればするほどリング電極での捕集率が上がり、10μm以下ではほぼ100%の効率が得られた。 また、ガラスチップ上に、溶液導電率法による亜硫酸ガスの計測システムを集積化する試みを行った。今回考案したクロスフロー方式により、数十μmの厚みでのガス吸収液層を形成することに成功した。先ほど当研究室で試作した500μmの約十分の一である。ガス吸収が、透過膜の透過速度が律速で起こっていると、感度は吸収液層の厚みに反比例する。従って、今後条件をつめていくと極めて高感度なガス計測システムが構築されると期待される。また、この構造では、ガス吸収部の体積がわずか3μLしかないので、必要とする吸収液がごくわずかでよい。化学的手法による環境モニタリングでは、使用する薬液自身が環境汚染の原因となることも考慮しなければならないが、このような微小システムは環境に優しいモニタリング手法であるといえる。また、消費量が少ないということは、長期にわたる連続測定がメンテナンスフリーで行えるという実用的なメリットも持っている。今回の測定系は、導電率測定用の電極も内蔵しており、試作した計測回路で導電率変化を連続的に計測することができた。今後、発展させ、発色や蛍光を利用したシステムの構築を行っていきたい。
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