研究概要 |
ポリウレタンフォームの原料の一つである、ポリエーテルポリオール(以下ポリオール)を水と混合すると、下凍水と束縛水という異なった状態の水分子が存在することが熱測定より報告されている。この系について高周波分光測定を行い、これらを確認するとともに、さらに水分子の束縛状態変化によると思われる吸収極大周波数変化が観測された。これらを踏まえ、添加水分量、温度によって水分子の束縛状態がどのように変化するか、等を調べた。すなわち、EO含有量、Owt.%ポリオールに水を添加させた場合、吸収極大周波数の変化は見られなかった。このことより、ポリオール末端のOH基に付加する水のようにポリオールに強く束縛された水は、周波数シフトに関与していないものと考えられる。これに対し、EO含有量7〜20wt.%ポリオールに徐々に水を添加していくと、添加量に応じて吸収極大周波数が低周波数側へシフトしていった。また、この周波数シフト量はEO含有量の増加に比例して大きくなった。さらに周波数シフト量は、EO含有量7,13,20wt.%ポリオールでそれぞれ、水の添加量9,13,20wt.%を境にしてさらに大きくなった。これは水分子同士の会合が生じることにより、系の誘電率が急激に増加したためと考えられる。 これらの知見を論文にとりまとめ発表した(Analytical Sciences,15巻11号,1083-1086(1999))。また、学会において口頭発表を行った(第60回分析化学討論会(1999)、要旨集p.101)。
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