研究概要 |
枯草菌(Bacillus subtilis)より3-methoxybennzamide(3-MBA)耐性を示す自然突然変異株を28取得した。これらの変異のうち、21変異がftsZ遺伝子近傍にマップされ、19変異株につてDNAの塩基配列を決定し、15種類の変異を同定した。これらの変異はFtsZタンパク質の広範な領域に散在していたが、大腸菌やメタノコッカスのFtsZタンパク質と相同性を比較したところ、三生物種間で比較的保存されているアミノ酸、もしくはその近傍に変異が見られた。R29Q(ftsZ329)やM30I(ftsZ119,ftsZ134,ftsZ307)は、M.jannaschiiにおいてGTPのグアニン部分と水素結合を形成することが示唆されているAns25残基の近傍に位置しており、またG140R(ftsZ309)はGTPのリボース部分と水素結合に形成することが示唆されているGlu39残基の隣に、V158M(ftsZ102)とF211I(ftsZ323)は大腸菌FtsZタンパク質においてGTP加水分解活性に関与するAsp156,Asp210残基の隣に位置していた。しかし、今回単離した変異の60%が未だ機能が特定されていないC末端領域に見出された。この領域はチューブリンのみならず原核生物種間のFtsZタンパク質においても相同性が認められない領域であり、胞子形成等、枯草菌に特徴的な機能を付与していることが考えられる。
|