まず、水生大型植物の換気能力を評価する目的で、水生大型植物の葉の加圧力と植物体各部位の空気導通コンダクタンスを測定する携帯可能な小型データロガーシステムを構築した。これは、小型多点計測カード付きパームトップコンピュータ、各種センサーなどから構成し、野外で微環境と換気機能の日変化を測定するためのものである。この装置を用いてコウホネ、ハス、スイレン、アサザなどの浮葉植物およびヨシの換気能力の迅速な計測を可能にした。さらにヨシについては、単位土地面積当たりのガスフラックスの推定と、TCDガスクロマトグラフィーを用いてガス組成を測定した。これらから土壌から大気へとぬけていく窒素ガスフラックスを計算すると0.1gN_2m^<-2>d^<-1>のオーダーとなり、これまで論文等で報告されてきた脱窒速度の推定値の多くのものよりも1桁大きな値となった。本研究の測定値が本当に正しいのかを再検討している。 もうひとつの目的は光合成ポロメータによるリーフコンダクタンスの測定であるが、既存のポロメータ(小糸KlP8510)の不調で、その調整とチャンバーの改良に時間を費やした。現在、湿度センサーを用いたポロメーターの自作および、実験室内の大型の光合成蒸散測定システムを用いてリーフコンダクタンスと導通コンダクタンスとの関係を明らかにすることを検討している。
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