本課題では暖帯林および亜熱帯林という特徴的な2つの自然生態系に生息し、そこで最適に機能していると考えられるニホンジカ(以下シカと略す)の社会システムを解明し、その結果をもとに自然生態系長期保存の手法の開発を頃呂見ることを目的としている。具体的にはそれぞれの代表として、長崎県野崎島と沖縄県慶良間諸島の2つの自然生態系において、シカの社会システムをテレメトリー法と直接観察法によって明らかにするとともに、シカの食性が植生、森林と草本の群落構造に与えている影響を評価する。今年度は最終年度で資料とりまとめであったが、各調査地で以下のような補足的な資料収集も行った。 (1)区画法、糞粒法による全島での生息数推定 (2)防鹿フェンス内での森林、草原の植生復活過程調査 (3)シカの樹皮はぎ頻度と樹種選択 (4)直接観察による草地群落での採食行動の観察 以上の資料を収集し、結果を解析して学会発表、論文作成投稿を行った。
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