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2000 年度 実績報告書

ニホンジカ地域個体群の多様性の遺伝生態学

研究課題

研究課題/領域番号 11640637
研究機関石巻専修大学

研究代表者

玉手 英利  石巻専修大学, 理工学部, 教授 (90163675)

キーワードニホンジカ / 個体群 / 遺伝生態学 / 多様性 / マイクロサテライト / 遺伝子 / ボトルネック / 分断化
研究概要

目的:ニホンジカの個体群動態と遺伝的多様性の関連を明らかにするために、各地域個体群の遺伝的多様性の現状をマイクロサテライト多型分析によって把握することを試みた。
方法と材料:北海道3地域、岩手、宮城、兵庫、島根、香川、山口、長崎、宮崎、鹿児島の12地域個体群からそれぞれ20個体前後のサンプルを採取して、マイクロサテライト11遺伝子座の遺伝型を決定した。さらに、各地域個体群の歴史的変遷についての文献資料を収集して、過去における個体群サイズの変動を推定するとともに、ボトルネックが生じた可能性についてシミュレーションにより検証した。さらに個体群間の遺伝的分化の程度をFSTにより数値化した。
結果と考察:最初に方法論的検討をおこない、個体群の内部構造を明らかにする分析手法を確立した(Zoological Science 17,335-340に発表)。ついで、鹿児島、岩手、宮城、香川については、歴史資料を検索した結果、過去100年間の個体数変動を概ね把握することができた。特に鹿児島(沖縄)のニホンジカについては、遺伝子分析により自然個体群ではなく移入種である可能性も示唆される結果を得た(TROPICS 10,73-78に発表)。さらに、得られた遺伝的多様性のデータにもとづいてシミュレーションをした結果、長崎、島根、岩手においては過去にボトルネックを経験していることが明らかになった。FST解析の結果、日本におけるニホンジカ地域個体群は、それぞれが分断化されて遺伝的分化が進行していることが示された(Molecular Ecology 10,印刷中)。以上の結果から、わが国のニホンジカ個体群は明治期以降の生息環境の変化によって、それぞれの地域に遺伝学的に分断化されたことと、いくつかの個体群ではさらにボトルネックによって遺伝的多様性が減少していることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Goodman,SJ. et al.: "Bottlenecks, drift and differentiation : the population structure and demographic history of sika deer in the Japanese archipelago."Molecular Ecology. 10・(10)(in press). (2001)

  • [文献書誌] TAMATE,HB. et al.: "Genetic differentiation among subspecies of the sika deer, with special reference to the phylogeny of C.nippon keramas, in the kerama Island Group."TROPICS. 10. 73-78 (2000)

  • [文献書誌] OKADA,A.and TAMATE,HB.: "Pedigree analysis of the sika deer (Cervus nippon) using microsatellite markers."Zoological Science. 17・(3). 335-340 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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