研究概要 |
房総半島の岩礁潮間帯に生息する3種類のヤドカリ類、ホンヤドカリPagurus filholi,ケアシホンヤドカリPagurus lanuginosus,イソヨコバサミClibanarius virescensの行動的な相互作用と直接的、間接的な競争関係を調べた。ヤドカリ類は、種内・種間で貝殻交換、あるいは貝殻の強奪を、儀式化された闘争形式によっておこない、shell fightingとよばれる。種内・種間の貝殻を奪う競争力を調べるために、実験室内にて2種類ごとあるいは同種の同性または異性の組をつくり、貝殻の奪い合いをさせた。その結果、ホンヤドカリとケアシホンヤドカリの組の場合、後者は著しく競争力が強く、ほとんどの場合、ホンヤドカリから貝殻を奪った、その方法は、本種固有のshell fightingの儀式化された闘争行動によるものであった。またオス、メス両方とも攻撃者となり、ホンヤドカリのオス、メスと関係なく貝殻を奪った。ホンヤドカリは、雌雄で防御力に差はなかった。一方、ホンヤドカリとイソヨコバサミの組、およびケアシホンヤドカリとイソヨコバサミの組においては、ほとんど貝殻交換はおこらず、攻撃力に大きな差はないと考えられた。
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