研究概要 |
シロイヌナズナおよびイネから発見した4種の遺伝子(シロイヌナズナAdb1,Adb2;イネOdb1,Odb2)の産物は、いずれもN末端側に2つの2本鎖RNA結合ドメイン様配列、C末端側には既報の配列とは相同性を示さない機能未知の配列を持っていた。これら遺伝子の2本鎖RNA結合ドメイン様配列の2本鎖RNA結合活性を解析するため、Adb1,Odb1の全長のcDNAおよびAdb1のN末端側の2本鎖RNA結合ドメイン様配列のみを発現ベクターに組み込みGSTとの融合タンパク質として大腸菌で発現させ、ノースウェスタン法で融合タンパクの2本鎖RNA結合活性を解析した。2種類の遺伝子のRNA(シロイネナズナのアクチン遺伝子とイネ2本鎖RNAがコードするORFの部分配列)を基質に用い2本鎖RNA結合活性を解析したところ、これらの3種の融合タンパク質は、いずれのRNA種についても2本鎖RNA特異的な結合活性を示した。また、ノーザンハイブリダイゼーション法により、これらの遺伝子が、シロイヌナズナおよびイネにおいてmRNAレベルで発現していることを確認した。これらの結果は、Adb1およびOdb1が両植物体内で2本鎖RNA結合タンパク質として機能していることを示唆している。この結果は、論文に纏め現在投稿中である。 同時に、35Sプロモーターの下流にAdb1を挿入したコンストラクトを作製し、シロイヌナズナに導入した形質転換体を作製した。この形質転換体の外観は野生型と大差なかった。今後、Adb1の植物体内での機能解析の為、CMV等のRNAウイルスを感染させた形質転換体の解析を計画している。
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