研究概要 |
イネおよびシロイヌナズナから見出した2本鎖RNA結合ドメイン様配列を含む遺伝子を、それぞれOdb1,Odb2,Adb1,Adb2,Adb3と名づけた。これらのうち全長クローンを得ているOdb1,Adb1,Adb2,Adb3は、いずれも約400アミノ酸残基のタンパク質をコードしており、N末端側200アミノ酸残基の領域に2つの2本鎖RNA結合ドメイン様配列を持っていた。これらのうちOdb1,Adb1については、昨年度2本鎖RNA特異的なRNA結合活性を確認した。今年度は、Adb2,Adb3について、GST融合タンパクとして発現・精製しノースウエスタン法でRNA結合活性の解析を行ったが2本鎖RNA特異的結合活性は未だ検出できていない。また、ノーザン解析により、Adb3遺伝子の発現量は、Adb1,Adb2遺伝子よりも10倍以上多いことがわかった。これらの遺伝子とは別に、N末にRNase様ドメイン、C末に2本鎖RNA結合ドメイン様配列を含む遺伝子を見出しAdb4と名づけた。この遺伝子をGST融合タンパク質として精製し、ノースウエスタン法で2本鎖RNA特異的結合活性を確認した。これらの2本鎖RNA結合タンパク質の植物体内での機能、特にウイルス感染応答における役割を解析するために、35Sプロモーターの下流にAdb1遺伝子をセンス方向に挿入したコンストラクトを導入したシロイヌナズナの形質転換体を作成し、キュウリモザイクウイルス(CMV)を接種しCMVの蓄積量を解析したが、野性株と大差なかった。さらに、T-DNA挿入シロイヌナズナ系統から遺伝子破壊株の選抜をおこない、Adb1,Adb3,Adb4遺伝子の破壊候補株を得た。
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