研究概要 |
気孔孔辺細胞プロトプラストを青色光で照射したのち、細胞膜H^+-ATPaseの抗体を用いて免疫沈降を行うと、14-3-3蛋白質が共沈してきた。この14-3-3蛋白質のlsoformを決める目的で、孔辺細胞中に発現している14-3-3蛋白質をクローニングすると4種類のlsoforms、14-3-3a,b,c,dが単離された。Northern解析により、孔辺細胞で14-3-3aが最も多く、また、葉肉細胞ではa,b,cがほぼ同程度発現していた。多く発現している14-3-3aとbを大腸菌内で合成させ、組み換え蛋白質の電気泳動を行うと14-3-3aがH^+-ATPaseと共沈してくるものと同じ位置に泳動された。さらに、両者をCNBr処理するとその消化断片の電気泳動の様子は一致し、14-3-3bとは全く異なっていた。さらに、14-3-3aと14-3-3bのH^+-ATPaseに対する結合能を比較すると、14-3-3aの結合能が14-3-3bよりも高かった。以上の結果は、孔辺細胞H^+-ATPaseに結合する14-3-3蛋白質は14-3-3aで有ることを示唆している。 さらにカビ毒フシコクシンを用いて孔辺細胞プロトプラストを刺激すると、細胞膜H^+-ATPaseの免疫沈降産物中には32.5kDaの蛋白質が共沈してきた。これも分子量の大きさから14-3-3aであると推定された。次に、14-3-3a,b,cがほぼ同様に発現している葉肉細胞をフシコクシンで刺激すると、3種類ある内の14-3-3aのみが共同沈降してきた。この事実は、細胞膜H^+-ATPaseが14-3-3aにより特異的に制御されることを支持している。現在、この点をさらに確証するため孔辺細胞に結合する14-3-3蛋白質のアミノ酸配列を決定している。
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