研究概要 |
孔辺細胞は青色光を受容して、まだ未知の情報伝達系を経て、最終的に細胞膜H^+-ATPaseを活性化しプロトンの放出を行なわせ、膜電位を過分極させ、気孔開口の駆動力を形成させる。この時、細胞膜H^+-ATPaseが活性化される事、さらに、この活性化がリン酸化を介して起こり、そのリン酸化部位にいわゆる14-3-3タンパク質が結合する事を明らかにしていた。しかし、14-3-3タンパク質には多くのイソ酵素があり、そのうちのどれが結合しているのか、また、結合する事にどのような意味があるのかが不明であった。本研究では以下の点を明らかにした。 まず、孔辺細胞に発現しているすべての14-3-3タンパク質をクローニングし、それらの全塩基配列を決定し、孔辺細胞には4つのイソ酵素14-3-3a,b,c,がd存在する事を示した。この中で、14-3-3aが最も大量に発現していた。青色光照射によって細胞膜H^+-ATPaseと結合する14-3-3タンパク質を回収し、質量分析器を用いて部分アミノ酸配列を決めると、いくつかのペプチド断片がすべて14-3-3aの配列に含まれるものであった。これらの事から、細胞膜H^+-ATPaseに結合するものは14-3-3aであると結論された。 さらに、細胞膜H^+-ATPaseに結合した14-3-3aをはずしてやるとリン酸化状態は保ったままで活性が低下した。この事実は14-3-3aがリン酸化部位に結合する事がこの酵素の活性化に必要である事を示している。
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