傷、病原体、紫外線などの酸素ストレスを植物へ与えると細胞死を引き起こす。小麦由来の小分子GTP分解蛋白遺伝子wgp7は酸素ストレスにより速やかに発現が誘発される。本研究の目的はこのようなストレス応答におけるwgp7遺伝子の役割を明らかにすることである。本年は以下に述べる実験を行なった。 1.wgp7の転写物および蛋白の速やかな蓄積はそれぞれノーザン法およびウェスタン法により検出した。しかし、C末端側を用いて作成した抗体は特異性が不十分で、in situでの局在化を明らかにするまでには至らなかった。一方、リボプローブを用いたin situハイブリダイゼーションの実験が進行中である。 2.wgp7を発現するタバコにおいて、傷と病原体感染応答の間にクロストークがあることを既に確立した。さらにその機構を探るためサイチル酸およびジャスモン酸の内生レベルを測定している。 3.wgp7の速やかな転写物の蓄積機構を探るためそのプロモーターの活性を調べている。プロモーター下流にレポーター遺伝子をつなぎ、一方小麦の細胞培養系を確立して、遺伝子導入を行ないプロモーターの働きを明らかにする。
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