マウス子宮における性ステロイドホルモンと成長因子による細胞機能制御機構の解析

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640665
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 高橋 純夫 岡山大学, 理学部, 教授 (90144807)
• 研究分担者: 竹内 栄 岡山大学, 理学部, 助手 (20226989)
• キーワード: 子宮 / マウス / 発情ホルモン / 黄体ホルモン / 上皮成長因子 / 受容体 / トランスフォーシング-α

研究概要

哺乳類の子宮内膜細胞の増殖は卵巣由来の性ステロイドホルモンによって調節されている.この性ステロイドホルモンによる細胞増殖は、局所的に合成され自己分泌的、傍分泌的に作用する成長因子によって仲介されると考えられている.マウスの子宮には数種類の成長因子の存在が確認されているが、マウス子宮内膜間質細胞では、組胞増殖を引き起こす成長因子や性ステロイドホルモンによる成長因子の発現調節機構は不明である.本研究ではマウス子宮内膜間質細胞において、上皮成長因子(EGF)と腫瘍化成長因子-α(TGF-α)が共通に結合するEGF受容体(EGF-R)が発現していることに注目し、in vitro系においてEGF-RならびにEGFとTGF-αの増殖効果と、性ステロイドホルモンによるそれらの発現調節を調べた.
EGFとTGF-αの2日間処理は細胞分裂率を濃度依存的に高めた。また、エストラジオール-17β(E_2、10^<-9>M)とプロゲステロン(P、10^<-7>M)を同時投与した時、細胞分裂率は2.3倍に増加した.EGF-Rの特異的な阻害剤であるRG-13022(10^<-5>M)を投与すると、各処理による細胞分裂率の増加は全て抑えられた.ノーザン解析によりEGF(4.7kb)とTGF-α(4.9kb)、EGF-R(8.4kb、6kb、2.8kb)のmRNAが検出された.E_2+Pの24時間処理でTGF-α mRNAは増加し、2.8kb EGF-R mRNAは減少した.6kb EGF-R mRNAはE_2の24時間処理で増加し、EGF mRNA量はホルモン処理では変化しなかった.以上の結果から、in vitro系において間質細胞の増殖はE_2とPが協同的に作用して高めること、ならびにこの増殖機構にはEGF-Rが関与することが分かった.

研究成果

• [文献書誌] Takeuchi, S.: "Molecular cloning and characterization of the chicken proopiomelanocortin (POMC) gene"Biochimica et Biophysica Acta. 1450巻. 452-459 (1999)
• [文献書誌] Takeuchi, S.: "A possible involvement of melanocortin 3-receptor in the regulation of adrenal gland function in the chicken"Biochimica et Biophysica Acta. 1448巻. 512-518 (1999)
• [文献書誌] Kakeya, T.: "Epidermal growth factor, insulin and estrogen stimulate development of prolactin-secreting cells in cultures of GH3 cells"Cell and Tissue Research. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Manabe, Y.: "Immunocytochemical and immuno-electron-microscopical study of somatotrophs in ICR and non-obese diabetic(NOD) mice"Cell and Tissue Organs. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Shiraga, M.: "Epidermal growth factor stimulates proliferation of mouse uterine epithelial cells in primary culture"Zoological Science. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Honda, J.: "Identification of epidermal growth factor mRNA-expressing cells in the mouse anterior pituitary"Neuroendocrinology. (印刷中). (2000)