平成11年度の研究計画であるラットの球海綿体脊髄核(SNB)の運動ニューロンのサイクリックAMP応答領域結合蛋白(CREB)、CREB結合蛋白(CBP)、ステロイド受容体共役転写因子ー1(SRC-1)の免疫組織化学的同定とその発現調節の解析に関し、次の結果が得られた。 1.ラットのCREBの123から136までのアミノ酸配列に相当する合成ペプチドをリン酸化し、それに対するポリクローナル抗体(アップステイト社)を用いて、SNB運動ニューロンを免疫組織化学的に検索した。 2.2ヶ月齢の正常雄ラットのSNB運動ニューロンの核は強いCREB免疫反応性を示した。しかし、去勢して血液中のアンドロゲン量を減少させてもCREBの免疫反応性に変化が認められなかった。この結果は、アンドロゲンがSNB運動ニューロンのCREBの発現に関与していないことを示唆している。 3.22ヶ月齢の雄ラットのSNB運動ニューロンのCREB免疫反応性は低下し、免疫反応を示すニューロン数の減少が認められたので、CREBの低下は老化過程の一現象なのかもしれない。
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