平成11〜12年度の研究計画であるラットの球海綿体脊髄核(SNB)の運動ニューロンにおける共役転写因子解析に関し、次の結果が得られた。 1.リン酸化されたcAMP応答領域結合蛋白(CREB)、CREB結合蛋白(CBP)、ステロイド受容体共役転写因子(SRC-1)のポリクローナル抗体(アップステイト社)を用いて、SNB運動ニューロンを免疫組織化学的に調べた。 2.2ヶ月齢の正常雄ラットのSNB運動ニューロンの核は強いCREB、CBP、SRC-1免疫陽性であった。しかし、去勢して血液中のアンドロゲン量を減少させてもこれらのの免疫反応性に変化が認められなかった。この結果は、アンドロゲンがSNB運動ニューロンのこれらの共役転写因子の発現に関与していないことを示唆している。 3.22ヶ月齢の老齢雄ラットのSNB運動ニューロンのCREB免疫反応性は低下し、免疫反応を示すニューロン数の減少が認められたので、CREBの低下は老化過程の一現象なのかもしれない。
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