研究概要 |
1,ナマコより単離したペプチドNGIWYamideの抗体を作成し、ナマコを染色したところ、以下の神経が染まった。放射神経のhyponeuralとectoneuralの部分、環状神経、触手神経、腸の神経そう。NGIWYamideは神経ペプチドであると結論できる。NGIWYamide抗体陽性の染色は、体壁の真皮内にも見られた。 2,NGIWYamide抗体陽性反応の見られた部分(体壁真皮、触手と腸管)を用いて、NGIWYamideの効果を調べた。NGIWYamideは真皮を硬くする効果をもった。触手では収縮を起こし、腸管では自発性収縮を抑制した。NGIWYamide作動性神経は、ナマコの運動神経として広く分布し、広範な働きをしていると考えられる。 3,ウミユリの巻枝は、硬さを変化させるキャッチ結合組織であるとともに、結合組織性の収縮も示す。硬さの減少がアセチルコリン(10^<-9>-10^<-4>M)で起こることを見出した。ニコチン様のアゴニストは、アセチルコリンと同様な減少を引き起こしたが、ムスカリン様のアゴニストは、高い濃度(10^<-5>M以上)では組織の軟化のみを起こし、薄い濃度(10^<-7>M)では収縮を引き起こした。10^<-6>Mでは、軟化の後に収縮がみられた。 4,巻枝の神経系を光学顕微鏡と電子顕微鏡により観察した。巻枝の中心を貫いて走っている体腔の壁は、神経で包まれており、その外側を別の神経が包み、さらにその外側をBSO細胞(bullet-shaped organelleをもつ細胞)が包んでいた。これら中心にある神経とBSO細胞から、骨片中にあまねく、細胞の網目状のネットワークが広がっていた。靭帯中には、主にjuxtaligamental cellの突起が分布し、少数のBSO細胞も見られた。
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