研究概要 |
1.アンチセンスDNA法適用の準補1:zenk遺伝子の塩基配列決定 まず、ジュウシマツ♀成鳥に同種♂の囀りをプレイバックして脳内zenk遺伝子の発現を誘導した後、この脳からAGPC法によりトータルmRNAを調製分離し、ランダムプライマーを用いたRT-PCR法によりcDNAを作成した。その後、5'RACE法、3'RACE法、direct sequencingにより、ジュウシマツzenk cDNAのアミノ酸コ-ド領域を全て含む1549bpの塩基配列を決定した。決定されたジュウシマツzenkの塩基配列は、ヒト,マウス,ゼブラフィッシュのegr-1とそれぞれ68.1%,67.1%,66.3%の相同性が認められた。 2.アンチセンスDNA法適用の準備2:標的部位の検討とアンチセンスODNの設計 上記の過程で決定した塩基配列を基に、アンチセンスDNA法適用の標的部位を検討する。まず、翻訳開始点付近を標的部位として、まず16merと18merのアンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンスODN)を設計した。この時、生体内で分解されにくく毒性も低い誘導体のphosphorothionate-ODN(S-ODN)を採用し、アンチセンスS-ODN、FITC標識したアンチセンスS-ODN、対照としてセンスS-ODN(リバース配列のS-ODN)を入手した。次に、これらのS-ODNをジュウシマツ脳内に微量注入し、一定時間後に脳を固定して組織学切片を観察したところ、FlTC標識したアンチセンスS-ODNのニューロンヘの取り込みは確認されたが取り込んだニュ一ロンの分布域が狭く、アンチセンスS-ODNによるZENKタンパクレベル上昇抑制の有無は厳密には判定できなかった。今後は、アンチセンスDNAの投与量や投与方法を検討すると共に、標的部位のさらなる検討も進める予定である。
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