1、カエルの視蓋神経細胞を、偏りなく、できる限り多く染色するためにゴルジ染色法の最良の条件を検討した。グルタルアルデヒドとニクロム酸カリウムを用いて7日間固定を行い、1/8にトリミングした視蓋を37℃で銀染色する方法が最も良好な染色像を与えることが判った。 2、上記染色法を用いて、良好な染色像を示した合計40個の視蓋神経細胞から、その細胞体、樹状突起そして軸索の形態的特徴を表すパラメータをビデオミクロメータを用いて直接測定した。また、50μm毎の同心円を用いた樹状突起交点数の計測や、二分岐確率の計算等を行い合計21個のパラメータを得た。この21個のパラメータを説明変量として、相関行列を用いた主成分分析を行った。その結果、累積寄与率80%で、それぞれの寄与率が、27.8%、17.0%、12.3%、8.8%、7.6%そして6.5%の6つの主成分に分類することができた。 3、各説明変量の因子負荷量の検討から、第1主成分は、放射状に広がる大きな樹状突起範囲と大きな細胞体を持つ神経細胞であり、第2主成分は、短い樹状突起が垂直方向に伸びている神経細胞であることが判った。また、第3及び第4主成分は、それぞれ、深い層に細胞体を持ち、表層に向けて垂直に伸びる長い樹状突起を持つ神経細胞と、8層に細胞体を持ち、垂直に伸びる樹状突起を持つ神経細胞であった。最後に、第5及び第6主成分は、それぞれ、分岐の多い、細い樹状突起を持つ神経細胞と、左右相称な基底突起を多く持つ神経細胞であることが判った。 4、本研究で得られた主成分と、先に明らかにした電流源密度デプスプロファイルの3つの主成分との比較から、生理学的第1主成分が、形態学的第3主成分に、生理学的第2主成分が、形態学的第4主成分に、また、生理学的第3主成分が形態学的第2主成分に対応することが示された。
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