研究課題/領域番号 |
11640683
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宮下 洋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60045549)
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研究分担者 |
森谷 常生 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80002244)
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キーワード | アフリカツメガエル / 黒色素胞 / マウスメラノサイト / ロドプシン / ヒトメラノサイト / 光応答性 / トランスデューシン |
研究概要 |
変温脊椎動物の皮膚色素細胞は、一般には、眼からの情報に基づく神経・内分泌系調節系によって、その活動が制御されている。しかし、色素細胞の中には、視覚系を介さずに、細胞が直接、光シグナルに応答(色素顆粒移動運動)するものが知られている。ゼノパス幼生尾ヒレの黒色素胞もその一つである。 我々はこれまで、光応答性黒色素胞を含むゼノパス幼生尾ヒレで、2種のオプシン(ロドプシンとメラノプシン)タンパク質の発現を確認している。また、可視光に対する細胞応答がまだ不明である哺乳類の色素細胞を用い、光受容分子が色素細胞に普遍的に存在するのかどうかを検討した。マウスの培養メラノサイト(melana2)、ヒトの培養メラノサイト(NHEM)、およびマウス(C57BL/6N)の皮膚組織で、視細胞桿体のオプシンと一致するオプシンmRNAの発現が確認された。我々はさらに、光シグナル伝達系に関与するGタンパク質を明らかにするため、視細胞桿体のGタンパク質(Gt)に特異的なプライマーを用い、RT-PCRを行った。その結果、ゼノパス幼生尾ヒレ(黒色素胞)、マウス培養メラノサイト(melana2)で、Gtの部分配列と一致するcDNAが確認された。 これらの分子の存在は、色素細胞が光応答系細胞として機能している可能性を強く示唆している。生物は地球上に誕生して以来、光を有効利用し、様々な対応を成し遂げてきた。動物の視覚系は最も高度に分化した光受容系といえるが、このような機能分化を作り上げた土台となるものは原始細胞が獲得した光受容機能に他ならない。皮膚の色素細胞は、こうした基本的光受容機能を持ち続けてきた細胞の可能性があるだろう。
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