1.中国・ヒマラヤ地域を中心に収集した野生ツリフネソウ属植物約20種について、DNA抽出とrbcL、ITS1、trnF-trnL non coding region(trnF-L)の遺伝子領域について解析を行い、これまでに得られたデータとあわせて、分子系統樹を作成した。その結果、ツリフネソウ属は、ヒマラヤ地域を起源の地とし、北半球温帯地域に分布し多様化した群と旧熱帯地域に分布し多様化した群とヒマラヤ地域自身で多様化した群に大きくわけられることが明らかにされた。 2.上記の研究成果と形態学的解析の成果をあわせて考察し、系統進化を反映した形態形質を明らかにした。 3.上記の研究成果と染色体の多様性の解析の成果をあわせて考察し、染色体の進化方向について明らかにした。 4.研究成果の一部を論文にまとめて専門雑誌において発表した。 なお、分子系統研究の成果は、(社)日本植物学会第64回大会において発表した。比較対照とすべき試料の一部が国内で入手できず、国外からの入手を手配したため、その入手に時間がかかり、論文発表が遅れたが、まもなく成果が発表される予定である。 また、染色体の多様性と分子系統研究成果および形態学的解析の成果をあわせた考察は、研究期間内に予想を上回る染色体試料が中国より入手できたため、現在も解析中であり、その成果をあわせて発表する予定である。
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