研究課題/領域番号 |
11640706
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
斉藤 明子 千葉県立中央博物館, 資料管理研究科・自然誌・歴史研究部, 研究員 (90250141)
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研究分担者 |
蘇 智慧 JT生命誌研究館, 研究員
斉藤 秀生 財団法人 自然環境研究センター, 研究部, 上席研究員
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キーワード | カミキリムシ科 / 分子系統 / ミトコンドリアDNA / ND5遺伝子 |
研究概要 |
1.ヤツボシハナカミキリ群の系統解析 これまでの研究に加えて、日本国内の追加サンプルと同属の他種数種について、ミトコンドリアDNAのND5遺伝子領域(910bp)の塩基配列を決定した。得られた情報をもとにUPGMA法およびNJ法により系統解析を行ない、大陸を含めた本群の起源と分布拡大の経路について検討した。その結果、これまでの表現型によるくくりとは異なり、東日本の個体群と、韓国Ullungdo島のこれまでのタイリクヤツボシハナカミキリとされていた個体を含めた西日本の個体群とのふたつの異なるクラスターが形成された。つまり、表現型にツマグロ型からヤツボシ型までの同様な変異パターンを持つふたつの個体群が、大陸の個体群からそれぞれ独自に分岐した事が示唆された。 2.ヒメハナカミキリ属(Pidonia)の系統解析 ヒメハナカミキリ属の内、本年度は特にMumon亜属に含まれる種の台湾も含めた多数のサンプルについてND5遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、日本各地に分布するチャイロヒメハナカミキリでは、別種として記載されていた佐渡島産のものも含め、塩基配列の差異はすべて同種レベルのものであり、大陸のPidonia(Mumon)debilisと近縁な種であることが分かった。また、台湾産の4種はその外部形態は大きく異なるにもかかわらず近縁なひとつのグループを形成していることがわかった。 次年度はさらに日本産ヒメハナカミキリ属全55種について台湾および大陸に分布する数種も含めて分子系統解析を継続し、さらにCOI領域についても可能な限り解析し、ND5領域での結果との比較検討を加えたい。
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