研究課題/領域番号 |
11640710
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
分部 哲秋 長崎大学, 医学部, 講師 (50124847)
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研究分担者 |
長島 聖司 長崎大学, 医学部, 教授 (30039549)
佐伯 和信 長崎大学, 医学部, 助手 (80195966)
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キーワード | 形質人類学 / 弥生時代人骨 / 地域差 / 頭蓋計測 / 頭蓋小変異 |
研究概要 |
九州地方から出土する弥生人骨の地域性を明らかにすることを研究目的に、平成11年度より研究を遂行している。平成12年度においては、本教室が保管している文化的には北部九州の土器形式を使用しながらも縄文時代と同様に漁労・採集に生活基盤をおいていた西北九州地域(長崎県を中心とする)出土の弥生人骨及び南九州離島群(沖縄県を中心とする)出土の縄文晩期-弥生相当期人骨、具体的には西北九州地域では浜郷、宇久松原、宮の本、大友の各遺跡出土弥生人骨、南九州離島群では真志喜安座間原及び具志川島遺跡より出土した縄文晩期-弥生人骨の整理と復元作業を行った。併せて骨計測、頭蓋小変異形質の観察を進め、地域性の分析に備えて主要項目のデータ入力を行った。現在までの計測と観察による成果を以下に示す。1.西北九州地域及び南九州離島地域の男性頭蓋の計測結果(1)既調査・報告より大陸からの渡来系と考えられる北部九州弥生人(佐賀県、福岡県)と比較して、脳頭蓋がやや小さく、特に高径に差が見られる。頭型は中頭型に属すが、西北九州弥生人の方がやや短頭に傾く。顔面頭蓋では幅径はほぼ同じであるが、顔高、上顔高といった高径にはかなりの差が見られ、北部九州弥生人よりも著しい低顔傾向を示す。また、顔面は平坦ではなく、立体的である。(2)南九州離島地域出土の縄文晩期-弥生相当期人は、大局的には西北九州地域と同類と考えられるが、頭型が短頭に傾くことと顔面の平坦性がやや強い点で西北九州弥生人とは違いが見られる。2.西北九州弥生人の頭蓋形態小変異形質 北部九州弥生人の出現頻度と比較して西北九州弥生人の眼窩上孔は低頻度で出現し、逆に舌下神経管二分、翼棘孔、頬骨後裂、横後頭縫合残存は高頻度で出現する。この傾向は縄文人に酷似している。次年度、集積データの整理と分析を行い、九州における弥生人の地域性に関する研究報告書を作成する。
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