研究課題/領域番号 |
11640713
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (90234509)
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研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 理学研究科, 教授 (00127234)
高橋 陽一郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20033889)
渡辺 信三 京都大学, 名誉教授 (90025297)
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 講師 (40303888)
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キーワード | 確率過程 / サンプルパス / 大偏差原理 / 漸近挙動 / フラクタル / Wiener sausage / 重複大数の法則 / 対称拡散過程 |
研究概要 |
確率過程のサンプルパスの解析に関連して、本年度行った研究により得られた新たな成果は、以下の通りである。 1. 引き続き、無限次元空間上の拡散過程の集合間の推移確率に関してVaradhan型の短時間漸近挙動と類似の漸近挙動の問題を考察し、通常の集合間距離の代わりに内在距離を用いることで、技術的な条件無しに非常に一般的な枠組みの下でこのような漸近評価を証明した。これによって、特に興味を持たれていたリーマン多様体上のループ空間におけるOrnstein-Uhlenbeck過程の場合についての予想を肯定的に解決した。ユークリッド空間上の対称拡散過程に関しても、その生成作用素が退化しているとき一般にこの結果は新しい。これらの結果はJ.A.Ramirez氏との共著で雑誌投稿中である。 2. 空間内に複雑な系が可算無限個存在し、それぞれの系については熱伝導に関する情報がある程度分かっているとする。このようなモデルの典型例として、各系があるクラスのフラクタルである場合について、それぞれの系にしみ込む拡散過程を構成し、その熱核の短時間挙動についての詳しい評価を得た。さらにこれを用いて、短時間挙動において「最も起こりやすいパス」を、エネルギー関数の変分問題の解として表現した。これらの結果はB. M. Hambly氏との共著で現在論文を執筆中である。 3.境界のあるコンパクトRiemann多様体の場合にLittlewood-Paleyの不等式を考察し、境界の第2基本形式が正であるという条件の下で不等式を示した。これを用いるとRiesz変換のL^pでの連続性を導くことが出来る。この問題はDirichlet形式に対して対数Sobolev不等式が成立するという一般的な枠組でГ_2に対し指数可積分性を仮定すれば同様に証明できることも示した。この結果は雑誌掲載予定である。
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