1.GaN微結晶粒子の気相合成 Ga蒸気とアンモニアガスとの反応を利用する気相合成法を新たに提案し、装置の設計・作製後、GaN微結晶粒子の合成を行った。得られた試料は、粒径0.1〜2.0μm程度の多面体状や不定形のGaN微結晶粒子と未反応Gaの混合物であった。次いで、粒径分布の合成条件依存性を明らかにした。 2.GaN微結晶粒子の結晶構造評価 X線回折測定より、反応炉温T_f=1050℃以上で合成した試料はウルツ鉱構造のGaN微結晶であるが、1000℃以下で低温合成した試料には低温相の閃亜鉛鉱構造の微結晶が混在していることがわかった。閃亜鉛鉱構造粒子の混在割合は、理論計算に基づき、T_f=900、1000℃の試料でそれぞれ23、7%と見積られた。 3.GaN微結晶粒子のフォトルミネッセンス評価 粒径の大きな微結晶を多く含む高温合成の試料では、24Kにおいて励起子発光が支配的に観測された。室温における発光の積分強度は24Kの約3%であるが、この割合から本研究の方法で合成したGaN微結晶粒子の結晶品質が極めて高いことを示した。一方、粒径の小さな微結晶を多く含む低温合成の試料では、高温合成の試料に比べて、発光強度は1桁以上低く、また温度消光も著しい。これは粒子径が小さく、粒子表面での非発光再結合過程が支配的なためと考えられる。 4.GaInN混晶微結晶粒子の合成と評価 新たにIn用のルツボを設置し、Ga_<1-x>In_xN粒子の合成を行った。In組成xは、T_f=800℃では約0.04であった。xは炉温の上昇と共に減少し、1100℃ではInの混入は認められなかった。PL評価では、x=0.02の1000℃で合成した試料が最も強い発光を示すが、これは混晶化によるキャリア局在現象により、粒子表面での非発光再結合が抑制されたためと考えられる。
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