InAlGaN窒化物半導体混晶の相分離現象の解明とその制御を目指して、GaNエピタキシャル成長基板上にGaNに格子整合するIn組成付近のInAlN混晶および、InAlGaN混晶を成長させ、成長条件を変化させてその組成の揺らぎをX線回折により、バンドギャップの組成依存性を光透過・吸収測定および光伝導度測定により調べた。この結果、以下のことが明らかとなった。 1)InAlN層中へのInの取り込みは、In組成の低い領域ではほぼ100%であるが、In組成が0.2を越えると飽和傾向を示す。 2)XRD測定からは、In組成の増大に伴い組成揺らぎが増大する。格子不整合するIn組成(x=0.17)では、比較的結晶性が良好で組成の均一性が高い。 3)InAlN混晶の光伝導度測定を用いて測定した禁制帯幅は、In組成が0.1〜0.23の範囲では、GaNより大きく、GaNより小さいとする従来の報告例と大きく異なることが分かった。 4)カソードルミネッセンス測定より、本研究で作製したInAlN混晶層は、大きく分けて2つの組成をもつ領域が存在していることが分かった。 以上の結果を踏まえて、本研究をさらに発展させ、超格子構造、あるいは多重量子井戸構造の採用による相分離抑制と、格子整合系量子構造の実現を目指していく。
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