研究課題/領域番号 |
11650017
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鄒 徳春 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (90304831)
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研究分担者 |
藤田 克彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (20281644)
筒井 哲夫 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (40037982)
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キーワード | 層状ペロブスカイト / 励起子吸収 / PbI2 / 有機アミン / 吸収スペクトル / 発光スペクトル / 量子効率 / 逐次蒸着 |
研究概要 |
昨年度は、湿度が層状ペロブスカイト化合物の形成過程に対して大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。今年度は昨年度で確立した基本的製膜システム及び計測システムを更に改良し以下の研究項目を実施した。 1 様々な有機・無機化合物のモル比を変えた層状ペロブスカイト化合物を共蒸着法により作製し、その表面状態をAFMにより観測した。 2 作製した層状ペロブスカイト化合物の光学特性を中心とした光・電子物性と製膜条件や環境条件との関係を調べた。 3 層状ペロブスカイト化合物を有機電界発光素子の組み込み、電界発光機能性デバイスとしての特性を調べた。 (吸収スペクトルと発光スペクトル測定が非常に敏感に膜特性の変化を反映できることが予備実験で分かったので元の計画にあった質量変化の測定とXム線回折パターンの測定に関する詳細な実験は見送った。) 有機・無機化合物のモル比を変えて製膜した場合、PbI2(ヨウ化鉛)とPhEI(ヨウ素酸フェネチルアミン)のモル比が1:3の条件下の膜質と光学特性が一番よいことが分かった。これは膜を形成している過程では、ヨウ化鉛が固定相となり、ヨウ素酸フェネチルアミンが拡散移動して層状ペロブスカイト化合物を形成していることを示唆するものであり、昨年度の水がアミンの拡散を促進するとの結論と一致する。また、わずか200Kあまりの温度変化で量子効率が数十倍も変わることが分かった、これは、膜中に多量のヨウ化鉛が存在し、励起子の無輻射失活中心となっていることを示すものである。更に、層状ペロブスカイト化合物を発光層として組み込んだ有機電界発光素子から室温でも明るい発光が観測された。これは、層状ペロブスカイト化合物が使った室温で動作する機能デバイスの実現が十分可能であることを示すものであり、更に発展していく価値が大きい。
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