この研究は、表面層が重要な役割をする一群の結晶材料の表面構造および薄膜構造をX線回折動力学効果または各種の散漫散乱効果で、高分解能のもとでトポグラフ観察する装置の開発研究である。本年度は昨年度に引き続き、当初立てた計画とおりにシンクロトロン放射光X線マイクロビームの形成装置の開発を行い、ほぼ所期の目的を達成した。特に150keVを越える高ネルギーX線マイクロビーム形成のために用いる厚さ15mm鉛に径5ミクロン・マイクロピンホールの試作に、世界で初めて成功した。このピンホールの発散角度は10-4「rad」のレベルになる。このマイクロビーム形成の議技術は、本研究のテクニカルノウハウとして蓄積される。(財)高輝度光科学研究センター(Spring-8)Bl28B2においてこのマイクロスリット角度位置微調整メカニズムを含む走査機構の試験製作をし、ほぼ初期の目的を有することを確認した。この試作装置を用いた準備研究によって、装置パラメーターの設計適正値が得られた。マイクロビーム形成およびトポグラフ・イメージングへの応用に関して、Spring-8 User Experimental Report No6(2000)に4編が報告されることになっている。 次の課題は非対称反射利用によるビーム束縮小光学系の構成であるが、これについては研究室で、封入線源を用いて、試験を続けているが、フォトン数の不足は決定的に不利であるので、装置試作の見とおしが立った時点でSpring-8のBL28または20で実験を行う運びである。
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