本研究は、新規な透明導電膜用材料である多元系(複合)金属酸化物の物性を明らかにすると共に、特定の用途に適合する透明導電膜特性(性能)を実現するための材料設計手法を確立することにある。 平成11年度は以下に述べる研究実績を上げることが出来た。 これまでの研究成果から、優れた特性の実現が期待できるZnO-In_2O_3-SnO_2系薄膜を作製するためのZnOおよびIn_2O_3粉末、ZnOおよびSnO_2粉末もしくはIn_2O_3およびSnO_2焼成粉末ターゲットの作製技術を確立した。作製した粉末ターゲットを有効に使用するため、冷却効率の高いカソードに改良したマグネトロンスパッタ装置を作製し、それを用いて低抵抗率Zn_2In_2O_5薄膜、ZnSnO_3薄膜およびIn_4Sn_3O_<12>薄膜の作製技術を確立出来た。特に、基板温度、室温で作製したZn_2In_2O_5薄膜においては、2.9×10^<-4>Ωcmの低抵抗率を実現できた。また、2元および3元化合物の任意の組み合わせからなる多元系(複合)金属酸化物透明導電膜を作製する技術を確立できた。また、それらの多元系(複合)金属酸化物透明導電膜の電気的、光学的および化学的特性について検討した結果、これらの膜の諸特性は組成に強く依存することを明らかにした。また、膜の組成を制御することにより、抵抗率、屈折率およびエッチングレート等の特性(性能)を特定用途に適合させた透明導電膜を実現できた。
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