研究概要 |
平成8年度私学助成により岡山理科大学総合機器センターに共焦点光学系立体構造解析システムが導入された。このとき電子顕微鏡用イメージングプレート(IP)読取機FDL5000(富士写真フイルム社製)がTEM画像入力装置として設置され稼働を始めた。 代表者らはIPを使用し、遷移金属カルコゲン化合物などの種々の未知の結晶の回折パタンを記録してきた。 今回は複雑な結晶構造を持つ、カルコゲン化合物、トンネル型酸化マンガン化合物の電子回折パタンに応用して回折斑点の強度の実験値と計算機シミュレーションの値を詳しく検討した。 イメージングプレート(IP)を電子顕微鏡画像の記録素子として用い、電子回折斑点の強度を14ビット深さで読み取った。マルチスライス法などの計算機シミュレーションを行い実験で得られたパタンの数値とシミュレーションの結果を数値として比較した。試料の結晶構造を精密に決定するのが目的である。 IP読取機FDL5000を使用し今回の科学研究費補助で導入したデジタルイメージバッファ(IB-200・・富士写真フイルム社製)により高速な画像記録が可能になった。また補助金により専用ソフトウエア(富士サイエンスラボ98)が導入され、像強度の数値化、2048絵素の2次元高速フーリエ変換などが可能になり、画像計測系が整備された。回折斑点に流れ込む電流値もマイクロマイクロアンメータとファラディカップで計測が可能となった。 電子回折パタンと回折斑点の精密解析により2,3の遷移金属カルコゲンの未知の低温相の結晶構造について構造モデルを提案した。現在、2次電池正極材料として加能性のあるトンネル型マンガン酸化物の新たな材料の水熱合成、電気・磁気特性の測定などを行っている。
|