研究概要 |
最近、Qスイッチを用いて5-10nsといった短パルスを発生するNd:YAGレーザが次々と開発され、そのピークパワーが数10MWを超える高出力レーザも小型化、低価格化が進み、レーザアブレーションをはじめとする様々な分野への応用が急速に進んでいる.しかし、ピークパワーがMW級以上のNd:YAGレーザパルス光を、通常の石英ガラスファイバで伝送しようとすると、ファイバ入射端面の破壊や、コア材の非線型効果によるコアの溶融などをもたらしてしまうため、高出力YAGレーザの応用分野が制限されているのが現状である。そこで本研究では、中空ファイバを用いてピークパワー100MW以上の高出力Nd:YAGレーザパルスを伝送することについて検討した。 本研究の研究成果は以下の通りである. 液相法によるポリマー内装中空ファイバの設計・製作 短波長光伝送における散乱損失を低減するために,内装金属薄膜の均一化・平滑化について検討した.金属として使用する銀は,銀鏡反応によって精製されるが,その際の反応温度を一定に保持することが可能な,水冷式銀鏡装置を新たに導入することにより,銀薄膜の均一化が達成され,結果としてYAGレーザ,特に2倍・3倍高調波の伝送損失が低減された. 入射結合器およびガス導入系の製作 高出力パルス入射時に発生する空気の絶縁破壊を抑制するために,中空ファイバのコア内にガスを導入可能な入射結合器の設計製作を行った.この装置の導入により,10MW以上のピークパワーを有するレーザパルス伝送に成功した.
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