研究概要 |
小さい露光フィールドを接続して大きなチップを露光可能とするため、滑らかに露光フィールド間を接続できるようにすることが,本研究の目的である。それには、接続部で露光量が変化しないようにすることとパタン位置が精度良く接続されることが必要である。そこで、スキャンする時の光束の一端の幅が斜め直線状に減少する2つの逆向き台形光束を用い、2つの逆向きの台形光束の斜辺部を重ねて二重露光する「ぼかし接続」を行って接続状況を調べた。なお、本期間においては、まず、投影光学系の影響を除外して、照明光束の重ね精度と接続状況との関係を明らかにするため、レチクル位置で評価を行った。具体的には、自作したレチクルスキャンステージ上にレジストを塗布したウエハを置いてスキャン露光を行い、パタン形状を評価する場合には、テストレチクルをウエハ上においてソフトコンタクトで露光した。レチクル上を形状精度の高い台形光束で照明する必要があるため、角の丸みが小さい台形スリットを作ってその光像をレチクル上に形成した。露光フィールドを露光光束の端どうしが単純に接するように接続すると、どのような間隙で2つの光束を接しても接続境界に露光オーバーや露光アンダーの境界が現れ、境界上のパタンの平面形状にはくびれやふくらみ等を生ずる。これに対し、「ぼかし接続」を行うと接続境界は極めて滑らかになり、仮に故意に光束どうしを50μm程度ずらしても露光状況やパタン寸法、パタン形状はほとんど変化しないことが分かった。接続部の露光むらの原因としては、2つの台形スリットの位置制御誤差、2つの露光光束の形状誤差、スキャン経路誤差等が考えられるが、自作レベルの簡便な装置でも全部の誤差を総合した露光むらを約±1-0.5%以下とできる見通しである。
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