投影露光を用いる光リソグラフィは半導体デバイス製造のキーテクノロジィであり、さらなる微細化に対応できる技術への改革が求められている。しかしながら、光の回折によって解像限界が決まっており、デバイスの高性能化、高機能化に伴ってチップ面積が増大している。このため、投影レンズの露光フィールドをできるだけ大きくしたいが、フィールドの拡大は解像度低下やパタン位置精度の低下につながり好ましくない。本研究では、高解像度を得易い小さいフィールドの投影レンズでも大きいチップが露光できるように、フィールドを滑らかに接続する方法を提案し、その有効性を検討した。フィールドを単純に隣接させて露光したのでは、如何に精度良く接続したつもりでも、つなぎめに露光量の過不足やパタン形状の不連続を生じてしまう。そこで、台形の光束を用いてフィールドの片側を台形の斜辺により露光量を連続的に変化させて走査露光し、次に隣のフィールドの接続部分を逆の連続的に変化する露光量分布で再度露光するぼかし接続を考えた。光強度分布計算によってぼかし接続部のパタン接続状況の改善を予測した後、ぼかし接続ができるg線1/10縮小スキャン投影露光実験装置を自作して実際に接続状況を調べた。まず、露光量にほぼ比例して現像深さが変化するレジストを用いてレチクル面における接続部の露光むらを評価した結果、むらは0.5%以下の小さい値であった。次に、走査投影露光時のパタン接続を評価した。その結果、第1の露光と第2の露光間で、露光光束の接続やフィールド間のパタン重ね合わせに多少の誤差があっても、接続部でパタンの形成状況が急変したり不連続となることは無く、極めてなめらかにパタンが接続できることを実証できた。
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