研究概要 |
今年度の実験解析としては,(1)外部共振器長依存性,(2)半導体レーザの駆動電流依存性,(3)反射率変化領域で出現する極短の光パルス生成条件を明らかにすることを目的としたが,実験の都合で,次年度予定の「外部共振ミラーの反射率依存性」を追加し,(3)は次年度解析することにした.また,理論解析を予定通り進めた.以下に結果を要約する. 1.実験解析: 半導体レーザをスライダーに搭載し,媒体走行速度により外部共振器長を精密に変化させ(数μm),下記の3種の反射率を有する外部共振器(光ディスク)に対し,半導体レーザの出力,波長,波長変化幅,スペクトルなどを測定した.その結果,出力,波長,波長変化幅などは,(1)外部共振器長に対し半波長周期で変化,(2)駆動電流とともに増加,などが明らかになった.また,この傾向は実効反射率の概念により統一的に解釈できることがわかった.なお,本研究の応用として,波長可変半導体レーザを構成する集積型微少梁に関する論文を発表した. 2.理論解析: 外部共振器の共振器長,反射率,半導体レーザ端面の反射率,帰還光の結合効率が半導体レーザの出力,波長に与える影響をレート方程式により,キャリア密度の観点から解析した.その結果,実験と同様,半導体レーザの出力や波長が共振器長に対し周期的に変化することが明らかになった.また,波長変化幅は,短い共振器長,小さいレーザ端面反射率,大きい外部共振器反射率で増加することがわかった.これらはいずれも光結合効率の増加によるものである.今後は実験との定量比較を行う予定である.
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