研究概要 |
本研究は,主として実験的な制約から検討が不十分であった外部共振長が極めて短い場合の,半導体レーザの発振メカニズムを総合的に解明することを目的としている.今年度は,特徴がもっとも顕著に現れると考えられる光帰還量が大きい場合の発振波長や発振モードを集中的に実験解析した.また,複合共振系の発振メカニズムのシミュレーションを進めた. 1.実験解析:強光帰還とするため,半導体レーザー端面に反射防止膜を付与し(反射率R_2=1%),光ディスク反射率を50%に高め,外部共振器長(スライダー浮上量)を極小(数μm)にして,半導体レーザの出力,スペクトル,波長,波長変化幅などを測定した.その結果,シングルモードで外部共振器長に対して波長が直線的に変化する範囲は極めて短い(0.2μm程度)ことが判明した.この直線区間が帰還光の共振モードによる波長変化部分,直線からはずれた湾曲区間が帰還光によるキャリア密度や利得スペクトラム変化による波長変化部分と推定される. 2.理論解析:外部共振器長,外部共振器反射率,レーザ端面反射率などによる帰還光の振幅と位相を多重反射理論により解析し,実効反射率として表現した.この実効反射率を半導体レーザーのレート方程式に代入し,共振系の発振条件を求めた.現在,共振モードによる波長変化,キャリア密度や利得スペクトラムの形状変化による発振条件(波長変化)をシミュレーション中である.
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