研究課題
水素原子の微量検出は、イオン源、炎、ガス放出などのプラズマや密度の低い気体の中での実験、プラズマCVD或いは核融合炉等様々な分野の研究において重要な課題である。これまで用いられているレーザー誘起発光法や3光子イオン化法の検出限界は、10^<7-8>個cm^<-3>と報告されている。本研究の目的はレーザーの線幅を200GHz程度に広げた大強度のライマンα光を生成し、それらを用いてレーザー共鳴イオン化(1S-2P-unbound)法によって水素原子の検出限界を4桁から5桁良い10^<2-3>個cm^<-3>を達成することである。波長122nmの真空紫外(VUV)光を作り出す方法として、Krの4P^55P準位を用いた四波共鳴差周波混合法を導入する。この手法では、Krの4P^55P準位に対応する2光子共鳴波長212.5nm(ω_r)と、その共鳴準位とライマンα光の差に相当する差収波(ω_t)を、Kr/Arの混合ガス中で、時間的にも空間的にも重ね合わせることによってライマンα光(ω_<VUV>)が生成される。現在までに、本手法で0.1-1μJ/パルスのライマンα光をうることに成功しているが、ライマンαの強度、ビームクオリティを増強・改善するR&Dを行うことによって10-100μJ/パルスを達成する。科研費を使わせて頂き、コンパクトなデジタルオシロスコープを購入し、2種類のレーザー光の時間的な一致を常にモニターし、ライマンαの強度の増強に努める。また既存の静電四重極レンズ、静電ミラー、質量分離用磁石等のパーツを利用し、バックグランドの小さい測定を可能とするTOF測定の為の装置を組み上げが終了したところである。
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