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1999 年度 実績報告書

薄膜レンズを用いた球面収差補正による電子顕微鏡の高分解能化

研究課題

研究課題/領域番号 11650055
研究機関名古屋大学

研究代表者

花井 孝明  名古屋大学, 工学研究科, 講師 (00156366)

研究分担者 室岡 義栄  名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40273263)
田中 成泰  名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70217032)
キーワード薄膜レンズ / 球面収差補正 / 電子顕微鏡 / 対物レンズ / 5次球面収差 / 超高分解能
研究概要

1.薄膜レンズの球面収差補正特性の計算:実験に使用する電子顕微鏡に対して最適な補正特性を持つ薄膜レンズを設計するため,薄膜レンズの形状パラメータを変えて3次と5次の球面収差係数を計算した.その結果,実用上可能な薄膜レンズ電圧で補正を達成するためには,薄膜レンズを対物レンズポールピースの下側磁極片にできるだけ近付けて配置し,薄膜レンズ電極の孔径を従来より小さく0.3mm以下にする必要があることが分った.正の小さな3次球面収差と負の5次球面収差がバランスして最も球面収差の影響を低減できる最適な薄膜レンズ電圧は約600Vであり,静電力による薄膜の破損が起こらない程度に低い電圧であることも分った.
2.薄膜レンズの設計と製作:上記の計算結果に基づき,サイドエントリー薄膜レンズの設計・製作を行った.下側磁極片直上に配置するため,従来のねじ止めによる電極固定に替えて,1.7mmのブロックに電極と薄膜にコンタミネーションが生じることを防ぐための薄膜加熱用機構を組み込んだ.また,解像度を制限する要因となる軸ずれを減少するための微動機構を設けた.
3.電顕の安定性の向上:電顕の安定性を向上させて超高分解能観察を実現するため,機械的安定性を左右する冷却水の流量,温度の制御のために備品としてクーリングポンプを購入し,冷却水を±0.1℃の範囲で制御できるようにした.その効果により,長時間安定して像観察ができることを確認した.
4.像シミュレーション:マルチスライス法を用いて薄膜レンズ動作時の像強度を計算した結果,球面収差を完全に補正せず,3次と5次の球面収差をわずかに残したとき高い分解能が得られることが分った.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 花井孝明: "Maximum Entropy Restoration of Electron Microscope Images with a Random-Spatial-Distribution Constraint (印刷中)"Scanning Electron Microscopy. Suppl.11. 377-388 (1999)

  • [文献書誌] 田中成泰: "Defect structure in selective area growth GaN pyramid on (111)Si substrate (発表予定)"Applied Phisics Letters. (1999)

  • [文献書誌] 室岡義栄: "As-quenched arc products by pulse-discharge"Microscopy & Microanalysis 2000. (発表予定). (2000)

  • [文献書誌] 室岡義栄: "Pulse-arc system for investigation of initial fullerene deposition"Microscopy & Microanalysis 2000. (発表予定). (2000)

  • [文献書誌] 室岡義栄: "Electron beam-induced chemical reactions of single crystal calcium floride by time-resolved EELS"Microscopy & Microanalysis 2000. (発表予定). (2000)

  • [文献書誌] 室岡義栄: "Angular-resolved electron-energy-loss-spectroscopy of perovskite manganeese oxide"Microscopy & Microanalysis 2000. (発表予定). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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