強力なパルスレーザーで励起された超音波パルスを共焦点型ファブリ・ペロー干渉計で検出することに成功し、種々の測定条件で検出される超音波の特性を調べた。その結果、ミラー反射率90%の反射法が感度、周波数帯域の点で最適であり、2-30MHz帯の超音波パルスが検出可能であることがわかった。 アルミ合金のような金属材料にガリウムのような液体金属を付着させると延性破壊が脆性破壊に変化するという(液体金属脆化)現象を解明する目的で、レーザー励起された広帯域表面波パルスを使った音速・減衰測定から、液体ガリウムのジュラルミン(2017)に対する侵入過程を調べた。減衰測定はガリウム侵入が2段階に起こることを示した。まず、ガリウムは蜘蛛の巣状に約38μm/sという異常に早い速度で表面直下を拡がる。第2段階としてガリウムは直線的ではなく一様に、表面直下よりやや深い部分を30μm/sの速度で侵入する。第1段階は侵入するガリウム量が少ないため音速には反映しないが、第2段階の変化を反映して音速は2.5%減少することが観測された。縦波・横波についても同様に測定し、その変化は表面波に比べて約1桁小さく深さ方向には表面方向と比べて数十分の1の速度で侵入することが確認された。液体金属脆化の前駆現象としてのガリウム侵入過程について、本研究からその速度を初めて測定することができた。
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