研究概要 |
本研究の目的は、金属、半導体、セラミクス等をレーザーアブレーションすることにより生成したプラズマ中の原子・分子イオンを、発光、レーザー誘起蛍光法(laser-induced-fluorescence(LIF))、縮退4光波混合法(degenerated-four-wave-mixing(DFWM))の3種の光学的手法を組み合わせて、検出、診断することである。特に高分解能レーザーを用いれば、プラズマ中の原子分子を内部状態まで特定して調べることができる。このためには、線幅が0.0001nm以下で、かつ瞬間的に強いピークパワーを発生するパルスレーザー光源が必要となる。そこで本研究においてはまず、紫外域に多く存在する分子イオンの遷移を観測するために、可視および近赤外域狭帯域cwレーザーの2倍波をパルスレーザーで増幅し、狭帯域と高出力の2つの条件を同時に満たす光源の整備を行った。 この結果、(1)上述の光源を用いて、レーザーアブレーション法により生成されたSio^+分子イオンのドップラーシフトを測定し、並進速度の時間変化を詳しく調べた。放出されたSio^+分子イオンはアブレーション後、数百μsにわたって何回も上下しながら室温に収束していく。これは、SiのアブレーションプラズマとO_2雰囲気ガスとの界面が振動していること、即ちプラズマパルセーションの観測を意味する。また、(2)レーザーアブレーション法によりアルカリ土類原子のイオンCa^+,Sr^+,Ba^+をHe, H_2,D_2ガス中で発生させ、LIF法で内部状態の変化を時間的に追跡する研究を行い、アルカリ土類イオンのP励起状態における微細構造間のエネルギー間隔が、2つの準位間の遷移確率に大きく関係することを解明した。(3)大気中で発生させたAl中性原子の空間分布をDFWM法で測定する研究を行い、中性原子はプラズマプルームの外側に多く分布するこをと明らかにした。
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