研究課題/領域番号 |
11650066
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 豊 京都大学, 情報学研究科, 助手 (00169583)
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研究分担者 |
田中 泰明 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (90217068)
船越 満明 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40108767)
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キーワード | めっき / 結晶成長 / モンテカルロ法 / シミュレーション / 格子欠陥 |
研究概要 |
めっきにおける表面成長機構と皮膜内部の格子欠陥の構造の解析、およびその制御を目的としてモンテカルロシミュレーションによる研究を行った。溶液成長を対象とし、結晶成長の基本モデルであるSolid-on-Solid(SOS)モデルを格子欠陥(空孔)が入るモデルに拡張し、2次元正方格子モデルに適用してシュミレーションを行った。取り扱う事象は原子の吸着、離脱、表面拡散とし、成長は溶液相と固相の化学ポテンシャルμの差によって駆動されるとした。化学ポテンシャルはめっきにおいては過電圧に対応する。いろいろなパラメータ値を与えてシミュレーションを行ない、以下の結果が得られた。 1.化学ポテンシャルが大きくなると、表面は層状構造から乱れた構造へと変化し、格子欠陥密度は増加する。表面が層状構造のときは点欠陥が多く見られ、乱れた構造になると大きな空孔(void)が現れる。 2.空孔の分布は表面構造と強い相関を持ち、表面成長の履歴が空孔の空間構造に反映される。特に表面が凹の部分が吸着原子で埋まる際に空孔が多く生成されることがわかった。また、初期基板に凹凸がある場合には、成長によって表面が平坦になっても膜内部に空孔が多く残る。従って、このような凹の部分を添加剤により埋めることができれば、めっきの表面、欠陥構造が同時に制御できると考えられる。 3.皮膜の成長を止め(μ=0)、高温でシミュレーションを行うと、表面が平滑化されるとともに欠陥のクラスター化がみられた。これは実験で熱処理によりめっき表面が平滑化されることに対応する。 4.成長の初期の段階では短波長の揺らぎが見られたが、成長が進むにつれて長い波長の揺らぎが発達することがわかった。
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