研究課題/領域番号 |
11650066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工学基礎
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 豊 京都大学, 情報学研究科, 助手 (00169583)
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研究分担者 |
田中 泰明 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (90217068)
船越 満明 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40108767)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | めっき / モンテカルロシミュレーション / 表面処理 / 格子欠陥 |
研究概要 |
本研究では、めっきにおける皮膜の表面構造、皮膜内部の格子欠陥の構造の解析とその制御を目的として計算機シミュレーションによる研究を行った。溶液成長を対象とし、結晶成長の基本モデルであるSolid-on-Solid(SOS)モデルを格子欠陥(空孔)が入るモデルに拡張し、2次元正方格子モデルに適用してモンテカルロシミュレーションを行った。その結果、以下の成果が得られた。 1.化学ポテンシャル(過電圧)が大きくなると、表面は層状構造から乱れた構造へと変化し、格子欠陥密度は増加する。化学ポテンシャルが十分大きくなると表面上のいたるところで核生成がおこり、表面が緻密な構造になる様子が観察された。これはめっきにおいて、過電圧が大きくなると表面が緻密になるどいう実験事実に対応している。 2.表面が層状構造のときは点欠陥が多く見られたが、表面が乱れた構造になると欠陥密度が増加すると共に、いくつかの格子点がまとまって欠けた大きな空孔(void)が現れた。つまり、空孔の構造は表面構造と強い相関を持つ。表面が凹の部分が吸着原子で埋まる際に空孔が多く生成され、空孔の突間構造は表面成長の履歴を反映する。 3.初期基板に楔型の傷がある場合には、凹の部分に垂直な方向に欠陥が連続して現われた。これらの欠陥がつながると、表面まで貫通する穴(ピンホール)が生じる原因となり、皮膜の耐食性は著しく低下する。また、矩形の凹部がある場合には、その矩形の中央あたりに大きな空孔が生成された。これは、めっきによる銅配線のときに生じる欠陥と非常によく似ている。 4.高い過電圧で作成された表面の粗い皮膜を、高温で処理すると表面拡散が促進され、表面が平滑化されることがわかった。(現実の熱処理に対応) また、溶液中での物質移動と関連の深い2流体の混合の問題(カオス混合)、および重点サンプリング法によるモンテカルロシミュレーションの効率化に関する研究も行なった。
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