研究概要 |
1.バイオセラミック傾斜機能コーティングインプラントの作製 チタン(Ti)基材にハイドロキシアパタイト(HAp)を大気中プラズマ溶射法でコーティングして作製した。ハイドロキシアパタイト80μm単層とチタンとハイドロキシアパタイトの混合体積比を傾斜させて各層20μmを4層コーティングした試料を製作した。 2.バイオセラミック傾斜機能コーティングインプラントの残留応力分布評価 セラミックコーティング層内に等二軸応力分布を仮定し、有ひずみ、無ひずみ試料の特性X線による測定回折角から応力を算出する式を構築した。本法を用いてハイドロキシアパタイトコーティング試料の残留応力を測定した。測定には特性X線Mo-Kαを用い、管電圧と管電流は40kV-40mAとした。測定回折面は、ハイドロキシアパタイトがHAp(002)面、チタンがTi(103)面である。測定の結果、HAp単層材のコーティング層には約295MPa(標準偏差48MPa)の圧縮残留応力、HAp傾斜材には約224MPa(標準偏差72MPa)の圧縮残留応力が生じた。このことから、コーティング層を傾斜機能化することにより圧縮応力が低減することが明らかになった。 3.コーティングインプラントコーティング層のはく離強度 コーティング層はく離強度実験は3点曲げ試験で行った。試験片寸法は、幅10mm、厚さ2mm、長さ60mmである。支点間距離は42mmとした。コーティング層が引張負荷側となるように試料を設置した。各試料ともたわみが3mmになった時点で負荷を止めた。はく離の大きさを比較するために,はく離領域を三角形に近似してその面積を測定した。その結果、はく離領域の面積は単層コーティング試料が10.9mm^2、傾斜機能コーティング試料が4.6mm^2であった。このことから、コーティング層を傾斜機能化させることによってはく離強度が増すことが明らかになった。
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