初年度は詳細な定式化とこれに基づく弾塑性トラスのパイロットプログラムを作成し、これにより本手法の有効性の検証を行った。具体的な項目は以下の通りである。 (1)基礎理論の詳細定式化 この定式化では有限要素法における平衡方程式を付帯条件とするラグランジュ関数を定義した後、その(変位、設計変数、ラグランジュ乗数に対する)停留条件式を Newton 法により解く為の反復計算式を誘導した。しかしこの式は統合化のために変数が多くなるという欠点を有している。そこで計算効率の観点からマトリックス方程式の縮退(static condensation)を行うこととした。これにより1回の反復において、変位、設計変数、ラグランジュ乗数に関する方程式を個別に遂次解くことで、全変数空間での解を得ることができた。 (2)弾塑性トラスについての定式化 前項の定式化にぴて現れる接線剛性マトリックスや内力ベクトル、及びそれらの(設計変数に対する)導関数などの具体的諸量を弾塑性トラス問題の有限要素について定式化した。また設計変数としてはトラス断面積を考え、断面形状最適化に関するパイロットプログラムを作成した。なお最適化問題における制約条件としては総重量を採用した。 (3)例題解析(本手法による解析と従来の手法との比較) 前項で作成したパイロットプログラムにより例題解析を行った。ここで得られた最適形状と弾性問題としての最適形状を比較した。一方、参考のため、従来の手法、即ち、感度解析と最急降下方を遂次実行する最適化手法で同問題に対する解を求め得るかどうかについても検討した。なお計算効率についての性能も明らかにした。
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