研究概要 |
本年度当初の実施計画に基づき,解析モデルとして厚肉および薄肉の中空球を取り上げ,非一様な外力および熱負荷が作用する場合(二次元の軸対称問題)に対して,中空球の半径方向(厚さ方向)と円周方向の二方向の材料不均質特性が任意に変化する場合を想定し,半径方向と円周方向を有限個の要素に分割し,各要素の材料組成が独立に与えられる場合について,有限要素法と遺伝的アルゴリズムを適用し,不均質中空球に発生する熱応力を最小化するための最適材料組成を求めるプログラムを作成した。前年度,問題点として残っていた、汎用有限要素法プログラムと,独立に作成した遺伝的アルゴリズムのプログラムとの受け渡しについても、解決の見通しがついた。 本年度の研究実績としては,機械要素の基本的形態の一つである中空球に対して,半径方向および円周方向の二方向に関する材料の不均質特性を考慮して,この不均質特性が連続的に変化する場合(ある特性関数で仮定した場合)についての熱応力緩和のための材料組成最適化問題,および遮熱性の向上と熱応力の緩和に関する材料組成多目的最適化問題についての結果が得られた。また、これらの問題に対して,有限要素法を用いて半径方向ならびに円周方向の材料特性が任意に変化する場合についての解析と数値シミュレーションを、現在,進めている段階である。さらに、機械要素の基本形態である円筒・円柱や平板についても、二次元的な材料不均質性を考慮して,熱応力緩和のための材料組成最適化問題,および遮熱性向上と熱応力緩和のための材料組成多目的最適化問題についての理論解析を行い,数値シミュレーションのためのプログラムを作成し、現在数値計算を進行中である。 なお、上記の研究成果については,現在,口頭発表および学術論文として発表の準備を進めている段階である。
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