研究概要 |
これまで画像分類によく用いられてきたしきい値法は,対象物の特性に合わせてしきい値を設定しなければならず,そのためのチューニングに多大の労力を必要とした.また,従来のしきい値処理法,統計的判別法などの画像処理法は決定論的な手法のため柔軟な境界処理が難しかった.本研究では,そのようなチューニング作業を軽減し,さらに特異な画像の入力に対しても全体の判断に影響が少ないロバスト性をもつ表面検査画像分類のためのアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは,複合材料製品の外観検査をコンピュータビジョンなどで自動化する展望のもとで,'材料表面のディジタル画像情報処理技術を援用して,欠陥の種類,大きさ,長さ,面積などを分類する目的で開発されたものである.開発したアルゴリズムの多水準しきい値自動決定法は,損傷部分を判別するための多水準でのしきい値のレベルチューニングが自動的にできる特徴がある.また,最終的に分類され,抽出された欠陥形状は画素数により面積情報が得られる.そこで欠陥形状を数式表現するため,長軸,短軸情報から与えられる楕円で近似表示するアルゴリズムも開発した.提案する検査用アルゴリズムの評価のため,水槽用FRPパネルの表面画像分類実験を試みた.ディジタル入力されたFRPパネル製品の外観画像の処理を試みた結果は,充分な精度で欠陥部位をうまく抽出できることを確認し得た.ただし,実際に目視検査に変わる自動検査システムに組み込むには,精度と効率の両面の検討が必要なため,多くの事例に適用してデータを収集する事が大切である.また,開発したアルゴリズムの実画像への適用と,抽出した欠陥情報をいかに信頼性評価に生かすべきかの検討が今後の課題である.
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